偕成社 シャーロック・ホームズ全集
THE VALLEY OF FEAR Sir Arthur Conan Doyle
サセックス州の北のはずれにあるバールストン村。朽ち果てそうな領主館(マナーハウス)で殺人事件が起こった。頭部はこなごなにされていたが、右腕にある奇妙なあざから、殺されたのは館の主ジョン・ダグラスと判明した。その薬指から結婚指輪がなくなっていた。
だが、夫人には悲しみの色はなく、夫の親しい友人であるバーカー氏と親しげに話しているのが目撃された。バーカーによると、ダグラスは何か危険を見に感じているようだった。バーカーとダグラスはカリフォルニアで出会い、二人で金を出し合ってもうかりそうな鉱区を買いとったが、ダグラスはなぜか突然権利を売ってイギリスに渡り、バーカーもまた、のちにロンドンに移ったという。
妻もまた、夫が何者かにつけねらわれているのではないかと案じていた。夫はよく「恐怖の谷」という言葉を口にしていた。そして、そこから抜けられないのかもしれないと。
ダグラス氏はだれに、なぜ殺されたのか? そして「恐怖の谷」とは?
『緋色の研究』と構成は似ているが、本作の方がはるかに骨太である。各務三郎氏による後書きによると、本作は実際にあった事件を題材にしているとのことである。ホームズ物語の最後の長編であり、完成度の高い、読みごたえのある作品である。
2005年08月03日
2005年06月16日
『シャーロック・ホームズの回想』コナン・ドイル著 鮎川信夫訳
講談社文庫
『シャーロック・ホームズの冒険』に次ぐ第2短編集。近所の古本屋さんにて購入。
ホームズが探偵となるきっかけとなった『グロリア・スコット号事件』、ホームズの部屋には銃痕でV・R(ヴィクトリア女王を表す)と描かれていたという『マスグレーブ家の儀式』、兄マイクロフトが登場する『ギリシャ語通訳』、そしてモリアーティと対決する『最後の事件』等11編が収録されている。
番外編もしくは外伝というべきか。展開が見えてしまうものもあるが、あいかわらずのホームズ節にひかれてついつい読んでしまう。これでようやく名探偵コナンのお話にもついていけそうだ(?)。
消えた競走馬
黄色い顔
株式仲買店員
グロリア・スコット号事件
マスグレーブ家の儀式
ライギットの謎
背中のまがった男
入院患者
ギリシャ語通訳
海軍条約書事件
最後の事件
『シャーロック・ホームズの冒険』に次ぐ第2短編集。近所の古本屋さんにて購入。
ホームズが探偵となるきっかけとなった『グロリア・スコット号事件』、ホームズの部屋には銃痕でV・R(ヴィクトリア女王を表す)と描かれていたという『マスグレーブ家の儀式』、兄マイクロフトが登場する『ギリシャ語通訳』、そしてモリアーティと対決する『最後の事件』等11編が収録されている。
番外編もしくは外伝というべきか。展開が見えてしまうものもあるが、あいかわらずのホームズ節にひかれてついつい読んでしまう。これでようやく名探偵コナンのお話にもついていけそうだ(?)。
消えた競走馬
黄色い顔
株式仲買店員
グロリア・スコット号事件
マスグレーブ家の儀式
ライギットの謎
背中のまがった男
入院患者
ギリシャ語通訳
海軍条約書事件
最後の事件
2005年05月10日
『シャーロック・ホームズの帰還』コナン・ドイル 延原謙訳
ISBN 4102134026
引き続きホームズを読んでいる。今読んでいるのは延原謙訳、新潮文庫版である。ホームズのいろいろな顔が見えるのが嬉しい。
だが、ホームズで最初に読んだのが各務三郎氏訳だったためか、他の方の訳では違和感がある。これも一種のすり込みだろうか? 原文で読む方がいいような気がしてきた。
ホームズが合わないわけではないのがはっきりわかっているだけに、翻訳に違和感を感じるのはちょっとつらい。
延原さんの訳じゃないと、と言われる方もおられるそうだ。やっぱりすり込みの問題か?
収録作品
「空家の冒険」「踊る人形」「美しき自転車乗り」「プライオリ学校」「黒ピーター」「犯人は二人」「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」「アベ農園」「第二の汚点」
引き続きホームズを読んでいる。今読んでいるのは延原謙訳、新潮文庫版である。ホームズのいろいろな顔が見えるのが嬉しい。
だが、ホームズで最初に読んだのが各務三郎氏訳だったためか、他の方の訳では違和感がある。これも一種のすり込みだろうか? 原文で読む方がいいような気がしてきた。
ホームズが合わないわけではないのがはっきりわかっているだけに、翻訳に違和感を感じるのはちょっとつらい。
延原さんの訳じゃないと、と言われる方もおられるそうだ。やっぱりすり込みの問題か?
収録作品
「空家の冒険」「踊る人形」「美しき自転車乗り」「プライオリ学校」「黒ピーター」「犯人は二人」「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」「アベ農園」「第二の汚点」
2005年04月29日
『シャーロック・ホームズの冒険(下)』 コナン・ドイル著 平賀悦子 他訳
THE ADVENTURES OF SHERLOCK HOLMS Sir Arthur Conan Doyle 1892
ISBN 4037380609
「青い紅玉」 平賀悦子 訳 THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE
「まだらの紐」 平賀悦子 訳 THE ADVENTURE OF THE SPECKLED BAND
「技師の親指」 平賀悦子 訳 THE ADVENTURE OF THE ENGINEER'S THUMB
「独身の貴族」 各務三郎 訳 THE ADVENTURE OF THE NOBLE BACHELOR
「緑柱石の宝冠」各務三郎 訳 THE ADVENTURE OF THE BERYL CORONET
「ブナ屋敷」 各務三郎 訳 THE ADVENTURE OF THE COPPER BEECHES
こちらも定評ある作品がそろっている。「青い紅玉」「まだらの紐」は原文で読んだので、翻訳は読んでいない。ホラーぽい雰囲気の「ブナ屋敷」にゾクゾクした。
ホームズを読んでいると、どこかで見た文章に出くわすことがある。著作権が切れているので、翻訳講座の課題に使われているようだ。苦労して訳出した文章に出会うと、ちょっと嬉しくなったりする。そんな楽しみ方もある。
やはりホームズは必読なのだろう。少しずつでも読んでいきたい。
ISBN 4037380609
「青い紅玉」 平賀悦子 訳 THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE
「まだらの紐」 平賀悦子 訳 THE ADVENTURE OF THE SPECKLED BAND
「技師の親指」 平賀悦子 訳 THE ADVENTURE OF THE ENGINEER'S THUMB
「独身の貴族」 各務三郎 訳 THE ADVENTURE OF THE NOBLE BACHELOR
「緑柱石の宝冠」各務三郎 訳 THE ADVENTURE OF THE BERYL CORONET
「ブナ屋敷」 各務三郎 訳 THE ADVENTURE OF THE COPPER BEECHES
こちらも定評ある作品がそろっている。「青い紅玉」「まだらの紐」は原文で読んだので、翻訳は読んでいない。ホラーぽい雰囲気の「ブナ屋敷」にゾクゾクした。
ホームズを読んでいると、どこかで見た文章に出くわすことがある。著作権が切れているので、翻訳講座の課題に使われているようだ。苦労して訳出した文章に出会うと、ちょっと嬉しくなったりする。そんな楽しみ方もある。
やはりホームズは必読なのだろう。少しずつでも読んでいきたい。
2005年04月22日
『シャーロック・ホームズの冒険(上)』 コナン・ドイル著 中尾明他訳
"THE ADVENTURES OF SHERLOCK HOLMS" Sir Arthur Conan Doyle 1892
ISBN 4037380501
「ボヘミアの醜聞」 常盤新平 訳 アイリーン=アドラー登場!
「赤毛連盟」 常盤新平 訳 なぜ赤毛? コミカルでありながらスリリング
「花むこ失踪事件」 常盤新平 訳 タイピストの純な気持ちが切ない
「ボスコム谷の謎」 中尾 明 訳 ボスコム谷に秘められた秘密とは?
「五粒のオレンジの種」 中尾 明 訳 南部での確執が英国でも!
「唇のねじれた男」 中尾 明 訳 その男の正体は?
短編はテンポが速く、読みやすい。どれもおもしろかったけど、アメリカの南北戦争の陰を引きずる「五粒のオレンジの種」が印象的だった。
訳は前二巻と異なっている。常盤新平氏の訳は他の方に比べて洗練された感じである。わたしはホームズの訳はどちらかというと泥臭くておどろおどろしい方が好みである。訳を比べてみるのもおもしろそうだ。
ISBN 4037380501
「ボヘミアの醜聞」 常盤新平 訳 アイリーン=アドラー登場!
「赤毛連盟」 常盤新平 訳 なぜ赤毛? コミカルでありながらスリリング
「花むこ失踪事件」 常盤新平 訳 タイピストの純な気持ちが切ない
「ボスコム谷の謎」 中尾 明 訳 ボスコム谷に秘められた秘密とは?
「五粒のオレンジの種」 中尾 明 訳 南部での確執が英国でも!
「唇のねじれた男」 中尾 明 訳 その男の正体は?
短編はテンポが速く、読みやすい。どれもおもしろかったけど、アメリカの南北戦争の陰を引きずる「五粒のオレンジの種」が印象的だった。
訳は前二巻と異なっている。常盤新平氏の訳は他の方に比べて洗練された感じである。わたしはホームズの訳はどちらかというと泥臭くておどろおどろしい方が好みである。訳を比べてみるのもおもしろそうだ。
『四つの署名』 コナン・ドイル著 中上守訳 偕成社
"THE SIGN OF FOUR" Sir Arthur Conan Doyle 1890
ISBN 403738020X
刺激のない毎日にうんざりしてコカインに溺れるホームズのもとに、若い女性が訪ねてきた。女性の名はミス・メアリ=モースタン。メアリは母を早くになくし、父は10年前から消息を絶っていた。インドの連隊の士官だった父モースタン大尉はメアリに「ランガム・ホテルにいるからすぐ来るように」という電報を出したきり、行方が知れなくなっていた。
父を亡くした後、家庭教師として働いていたメアリはある日、自分の住所を知りたいという新聞広告を目にする。住所を知らせると、その日のうちに大きな真珠が一個届いた。その後も、毎年同じ日に真珠の入った箱が届いた。そして、今度は真珠を入れた箱に「友人を連れて指定の場所に来てほしい」という手紙が添えられていたため、いぶかしんだメアリは家庭教師先の夫人のつてをたどり、ホームズを頼って来たのである。質素だが愛嬌があり、優しく気高いメアリにワトスンは一目ぼれする。
その日の宵、ホームズとワトスンはメアリとともに約束の場所へ行き、御者に案内されて用意された四輪馬車に乗り込む。馬車がとまったその家で待っていたのは、モースタン大尉の友人だったショルトー少佐の息子、サディアス・ショルトーだった。
ショルトー少佐はインドを去るとき、モースタン大尉の財産を自分のものとして持ち帰っていた。何かを恐れ続けていたショルトー少佐は、ある夜、不審な死を遂げ、胸には「四つの署名」と走り書きされた紙切れがとめられていた。
サディアスには双子の兄バーソロミューがおり、父の残した本来はメアリのものである宝のことで争っていた。話をつけるため、バーソロミューの住むポンディシェリー荘に赴いた一行は、バーソロミューが殺されているのを発見する。死体の耳のそばには毒のついたとげのようなものが刺さり、テーブルの上には何かを走り書きした紙が残されていた。そこに書かれていたのは「四つの署名」だった。
「四つの署名」とは何を意味するのか? そして、宝の行方は?
続きを読む
ISBN 403738020X
刺激のない毎日にうんざりしてコカインに溺れるホームズのもとに、若い女性が訪ねてきた。女性の名はミス・メアリ=モースタン。メアリは母を早くになくし、父は10年前から消息を絶っていた。インドの連隊の士官だった父モースタン大尉はメアリに「ランガム・ホテルにいるからすぐ来るように」という電報を出したきり、行方が知れなくなっていた。
父を亡くした後、家庭教師として働いていたメアリはある日、自分の住所を知りたいという新聞広告を目にする。住所を知らせると、その日のうちに大きな真珠が一個届いた。その後も、毎年同じ日に真珠の入った箱が届いた。そして、今度は真珠を入れた箱に「友人を連れて指定の場所に来てほしい」という手紙が添えられていたため、いぶかしんだメアリは家庭教師先の夫人のつてをたどり、ホームズを頼って来たのである。質素だが愛嬌があり、優しく気高いメアリにワトスンは一目ぼれする。
その日の宵、ホームズとワトスンはメアリとともに約束の場所へ行き、御者に案内されて用意された四輪馬車に乗り込む。馬車がとまったその家で待っていたのは、モースタン大尉の友人だったショルトー少佐の息子、サディアス・ショルトーだった。
ショルトー少佐はインドを去るとき、モースタン大尉の財産を自分のものとして持ち帰っていた。何かを恐れ続けていたショルトー少佐は、ある夜、不審な死を遂げ、胸には「四つの署名」と走り書きされた紙切れがとめられていた。
サディアスには双子の兄バーソロミューがおり、父の残した本来はメアリのものである宝のことで争っていた。話をつけるため、バーソロミューの住むポンディシェリー荘に赴いた一行は、バーソロミューが殺されているのを発見する。死体の耳のそばには毒のついたとげのようなものが刺さり、テーブルの上には何かを走り書きした紙が残されていた。そこに書かれていたのは「四つの署名」だった。
「四つの署名」とは何を意味するのか? そして、宝の行方は?
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2005年04月17日
『緋色の研究』コナン・ドイル著 各務三郎訳
A STUDY UN SCARLET Sir Arthur Conan Doyle ISBN 4037380102
シャーロック・ホームズが解決した最初の事件。アフガンで腸チフスに罹患したため英国に帰還した軍医ワトソンが語る。第一部 元陸軍軍医ワトソン医学博士の回想録とユタでの出来事が記された第二部 聖者の国の二部で構成されている。
今、ここで白状してしまうが、実はわたしはホームズものの長編は『バスカビル家の犬』しか読んでいない。短編にしてもプロジェクト・グーテンブルグからダウンロードして読んだ『まだらの紐』『青い宝玉』を読んだ程度である。この原文が読みやすかったので、いつかは原書でと思っていたが、このままではいつになるかわかったものではない。これではいけないと、3年ほど前、息子にとユーズドで買った『シャーロック=ホームズ大全集』を引っ張り出してきて読み始めたら、おもしろいの何の! 一気に読んでしまった。
初っぱなから、かよこさんのブログで名前が挙げられていたエドガー=アラン=ポーのデュパン探偵についてホームズが一言言ってのける。そのすぐ後に引き合いに出されるフランスの推理作家ガボリオのルコック刑事、これも必読なのだろうか。ワトソンはデュパン探偵とルコック刑事を『崇拝する名探偵』として挙げているのだけど。
ワトソンが帰国したいきさつはクリスティーのポワロものに出てくるヘイスティングを、何日も根を詰めて研究した後、ぐったりするホームズは『薔薇の名前』の主人公である、その名もバスカヴィルのウィリアムを思い出させる。なるほど、ホームズはさすがに古典なのだとおそまきながら実感させられた。
各務三郎氏のやや古風な訳とおどろおどろしいさし絵がヴィクトリア朝らしい雰囲気をかもし出している。少年少女向けなので読みやすいけど、この全集は完訳版なのだろうか?
ささいな点なのだけど気になることがある。ルーシーの好物だった「蕎麦ケーキ」とはどんなケーキだったのだろう。蕎麦は痩せた土壌でも育つというが、蕎麦粉でケーキをつくったらパサパサになりそうだ。
しばらく家にある『シャーロック=ホームズ大全集』を続けて読んでみようと思っている。
「人生という無色のかせいとのなかに、殺人という緋色の糸がまじりこんでいる。ぼくたちの仕事は、その糸を解きほぐし、とりだして、白日のもとにさらすことなんだ。」p73
シャーロック・ホームズが解決した最初の事件。アフガンで腸チフスに罹患したため英国に帰還した軍医ワトソンが語る。第一部 元陸軍軍医ワトソン医学博士の回想録とユタでの出来事が記された第二部 聖者の国の二部で構成されている。
今、ここで白状してしまうが、実はわたしはホームズものの長編は『バスカビル家の犬』しか読んでいない。短編にしてもプロジェクト・グーテンブルグからダウンロードして読んだ『まだらの紐』『青い宝玉』を読んだ程度である。この原文が読みやすかったので、いつかは原書でと思っていたが、このままではいつになるかわかったものではない。これではいけないと、3年ほど前、息子にとユーズドで買った『シャーロック=ホームズ大全集』を引っ張り出してきて読み始めたら、おもしろいの何の! 一気に読んでしまった。
初っぱなから、かよこさんのブログで名前が挙げられていたエドガー=アラン=ポーのデュパン探偵についてホームズが一言言ってのける。そのすぐ後に引き合いに出されるフランスの推理作家ガボリオのルコック刑事、これも必読なのだろうか。ワトソンはデュパン探偵とルコック刑事を『崇拝する名探偵』として挙げているのだけど。
ワトソンが帰国したいきさつはクリスティーのポワロものに出てくるヘイスティングを、何日も根を詰めて研究した後、ぐったりするホームズは『薔薇の名前』の主人公である、その名もバスカヴィルのウィリアムを思い出させる。なるほど、ホームズはさすがに古典なのだとおそまきながら実感させられた。
各務三郎氏のやや古風な訳とおどろおどろしいさし絵がヴィクトリア朝らしい雰囲気をかもし出している。少年少女向けなので読みやすいけど、この全集は完訳版なのだろうか?
ささいな点なのだけど気になることがある。ルーシーの好物だった「蕎麦ケーキ」とはどんなケーキだったのだろう。蕎麦は痩せた土壌でも育つというが、蕎麦粉でケーキをつくったらパサパサになりそうだ。
しばらく家にある『シャーロック=ホームズ大全集』を続けて読んでみようと思っている。