"THE HOLY THIEF" Ellis Peters
ISBN: 4334761690
1144年9月16日、暴虐の限りを尽くしたジェフロワ・デ・マンデヴィルが破門されたまま、世を去った。ジェフロワに略奪されたラムゼー修道院のウォルター大修道院長は、修道院の復興をはかるため、援助を求めて各地に使者を派遣した。
年があけて雪解けも近いころ、シュルーズベリの聖ペテロ聖パウロ修道院にも、ラムゼーの副院長補佐へールインと見習い修道士チューティロが派遣されてきた。音楽の才能に恵まれたチューティロの歌声は、ついに寝たきりとなったドナータ夫人にとって何よりの慰めとなった。
修道院には、プロヴァンスから来てチェスターに向かう吟遊詩人一行も泊まっていた。吟遊詩人はペルチェイのレミーという名で、従者ベネゼットと奴隷の生まれの歌い手ダーアルニーを連れていた。
ラムゼーからの一行が着々と寄付を集め、帰途に就こうかというとき、シュルーズベリを洪水が襲う。そのごたごたの中で、聖ウィニフレッドの聖骨箱の行方がわからなくなった。正体不明の修道士がラムゼーに向かう荷馬車に積み込ませたのだ! 正体不明の修道士とは? そして聖ウィニフレッドの聖骨箱はどこに?
この時代の聖遺物をめぐる状況が興味深い。奴隷という身分もあったのだなと改めて考えさせられた。
死の床にあるドナータ夫人とチューティロがともに過ごしたひととき、それは互いにとって忘れがたい時間となったことだろう。
「罪は見破られそうになると、むきだしではいけないとばかりあらゆる形のベールをかぶろうとするものだ。」