年上の美少女に寄せる少年の初恋、むくわれない思い、死と喪失、逝ってしまった愛しい人、果てない夢が、緻密で繊細な筆致で描かれている。
舞台となるのは、アメリカ中西部の架空の町ゲイルズバーグ──風の街──。時代は二十世紀初頭、第一次世界大戦前とされる。ローウェストのドレスに平たい帽子、複葉機が時代の雰囲気を伝え、郷愁を感じさせる。
切なくて切なくて、ポロポロ涙がこぼれてとまらない。怖いほど気持ちが揺すぶられる。
少女漫画と笑うなかれ! 並みの短編小説など足元にも及ばないほどの質の高さである。大切にしたい一冊である。
ブログに『万聖節に黄金の雨が降る』のことを書いたあと、どんなお話だったか気になってたまらなくなり、この作品が収録されている『かすみ草に揺れる汽車』をアマゾンで探してみたら何と1700円! 最高で4500円の値段がついていた。
これはちょっとと、オークションサイトへ。ちょうど2件出ていたので、ほかに清原なつののコミックスも2冊チェックして、夫に入札してもらった。こちらでのお値段はコミックスの原価380円を若干上回った程度である。
内田善美は絶筆されたと伝えられる。その才能が惜しまれる。