『ナルニア国物語』で知られるC・S・ルイスとその妻ジョイの物語。ERC読書会で『ナルニア国物語』を読んでいるときから気になっていて、オークションで見つけてやっと入手することができた。レンタル落ちだけど、画面はきれいだった。
『ナルニア国物語』の愛読者であり、詩人でもあるユダヤ系アメリカ人ヘレン・ジョイ・グレシャムは息子ダグラスを連れてイギリスを訪れ、ルイスとその兄とお茶の時間をともにする。アメリカ人らしい率直さと自己主張に戸惑いながらも、ルイスの心にジョイの存在が深く刻み込まれる。
アルコール中毒者で妻や子どもに暴力をふるう作家の夫と離婚し、ジョイは再びイギリスを訪れる。今度は旅行者としてではなく、ロンドンで暮らすために。そして、市民権を得るため、ルイスと形式上の結婚届を提出する。ジョイに惹かれながらも、自分の殻を打ち破ろうとしないルイスに、苛立つジョイ。間もなく、ジョイは病に倒れ、末期がんを宣告される。
ジョイとの永別を目の前に示されたルイスは、初めて自分の心の中に芽生えていた愛に気づき、ジョイの病室で牧師立ち会いの下にジョイとの永遠の愛を誓う。
小康状態のジョイとともに、ルイスは子どものころに親しんだゴールデン・バレーを旅する。幸せの絶頂にいる二人。だが、みずからの命の終わりを悟ったジョイは、この先に待ちかまえている苦しみもまた、この幸せの一部なのだとルイスに語る。
別れの時が来る。神学者として人々の前で神の愛と神が与える試練について語ったルイスも、あまりの悲しみの前に神の存在やその愛さえ疑うようになる。そんなルイスの目に写ったのは、幼くして母を亡くしたジョイの息子ダグラスだった。みずからもまた、わずか9歳で母を亡くしたルイスは、みずからの悲しみをダグラスに語り、二人は悲しみをともにする。
二人の心からジョイへの思いが消えることはなかったのだと思う。
ルイス──ジャックの心の動きに打たれた。独身の兄との男世帯を通し、オックスフォードに二十五年も暮らしたジャックは、今や神学者としても、また、作家としても名をなし、まさに権威そのものとなっていた。ひそやかに揺れるあこがれやさみしさなど我関せずといわんばかりに。そんな堅物ジャックの心の扉をたたいた女性、ジョイ。つかの間の幸せと早すぎる別れ。飾り気のない木製のベッドがただ一つ、悲しく残る。
アッテンボロー監督の作品はずっと以前にアパルトヘイト政策下の南アフリカを描いた作品『遠い夜明け』を見たきりで、アカデミー賞を受賞した『ガンジー』も見ていない。『ジュラシック・パーク』にも出演されていたとのこと。あのサンタクロースみたいなおじいさん?
『日の名残り』"THE REMAINS OF THE DAY"(これもいい映画!)での執事役が印象的すぎたので、C・S・ルイスとしてのアンソニー・ホプキンスになじむまでしばし時間が必要だった。思いを胸に秘めてという役どころも似ていたし。だけど、ひとたびその世界に入ってしまうと、時間を忘れて見入ってしまった。
母としてのジョイの悲しみは胸に突き刺さるようで正視できなかった。きょうはがんで亡くなった友人の一周忌。
