2006年09月22日

"FOUR TO SCORE" Janet Evanovich

"FOUR TO SCORE" Janet Evanovich
St.Martin's Paperbacks ISBN: 0312966970

 ステファニー・プラム第4作。邦題『サリーは謎解き名人』。

 ステファニーの今回のターゲットは、元カレの車を盗んだマキシーン・ノーウィッキー。どうってことない相手のはずなのに、なぜかいつもの大騒ぎ。元カレ、エディーはラブレターを取り戻したがっているけど、それだけじゃなさそう。

 暗号で書かれた手紙をパズル好きのドラッグ・クイーン、サリーに解いてもらうが、捜査は難航。マキシーンの母親と親友マージは非協力的。そうこうしているうちに、ステフの車が吹っ飛び、アパートが爆破され――。

 ステファニーは、バウンティ・ハンターとしての貫禄が出てきたし、ルーラもいい味を出している。モレリとの仲は意外な方向に! ドラッグ・クイーンのサリーが奇抜で笑わせる。元夫の浮気相手ジョイスとはこれからもドンパチありそう。今回、おばあちゃんの登場が少ないのがちょっと物足りない。

 ユーモア、ロマンス、アクション、ミステリのバランスがよく、最後まで楽しめた。モレリとステファニーのこれからが気になる。このシリーズは1、3、4しか読んでいないが、今のところ、この作品が一番お気に入り。

 肩の凝らないラブコメ・ミステリ、お疲れ休めにどうぞ♪
posted by 如月 at 16:45| Comment(0) | TrackBack(0) | E

2006年01月20日

"THREE TO GET DEADLY" Janet Evanovich

"THREE TO GET DEADLY" Janet Evanovich
ISBN: 0312966091

 ステファニー・プラム第3作です。邦題『モーおじさんの失踪』。

 バウンティ・ハンター、ステファニー・プラム、今回の標的はキャンディ・ストア(駄菓子屋さんかな)の店主モーおじさん。子どもたちはもとより町中の人に親しまれているおじさんを追いかけるステファニーは、白い目で見られます。だけど、食べていくためにはやるしかない! 神出鬼没のお師匠レンジャーや今や警官となったジョー・モレリとすったもんだしながら、モーおじさんの行方を追うステファニーですが、「モーを探すのはやめろ」と脅迫され、命まで狙われます。モーおじさんはどこに? そして失踪の真相は?
 
 おもしろかった〜(^o^) 第1作を読んだとき、あまりのドタバタぶりについていけず、笑いのツボを外してしまったけど、今度は楽しめました。疲れ果てて、愛ハムスター(こんな表現あり?)のレックスに打ち明け話をしたり、モレリの新居(?)が気になってのぞきに行くステフに共感できたし、ステフとルーラの会話にふむふむとうなづいたりもしました。脇役に存在感があり、会話が生き生きしているところがいいですね。

 このヒロインはヘタレじゃないけど、かといってスーパーウーマンでもない。ごく普通の女性なのだけど、なぜか彼女の行くところ、次々事件が起きてしまいます。こんなアブナイ仕事やめちゃえばと思うけど、でも、やめない。怖いけど逃げない。それなりにときめくこともあるみたいだし(^^;)

 モレリとレンジャー、どっちが好きってことがよく話題になるけど、わたしはモレリ派かな? レンジャーの謎めいたところも気になるけど、モレリの(たぶん、だけど)ちょっとはにかんだような微笑、見てみたいと思う。2人で並んで、黙ってパフェ食べてる場面が好き(*^_^*)
 
 4、6、7も譲っていただいた本の中に入っています。何だかんだ言いつつも、このシリーズ、やみつきになってしまいそうです。
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2005年03月18日

『薔薇の名前(上・下)』ウンベルト・エーコ 河島英昭訳 東京創元社

IL NOME DELLA ROSA Umberto Eco ISBN 4488013511 448801352X

 教皇と神聖ローマ帝国皇帝が対立し、異端審問に揺れ、魔女狩りが横行した中世ヨーロッパ。1327年、キリスト教世界随一を誇る文書館を持つ北イタリアのベネディクト会修道院を修道士主従が訪れた。教皇派と皇帝派の予備会談を行う使命を課せられたバスカヴィルのフランチェスコ会修道士ウィリアムと補佐役のベネディクト会見習い修道士アドソ。

 二人の到着を待っていたかのように、次々と修道士が殺されていく。それはまるで『ヨハネの黙示録』に見立てたかのように見えた。だが、二人の前にはまるで謎の解明を阻むかのように、文書館を含む異形の建物が立ちはだかっていた。4つの塔と入り組んだ構造を持つその建物の3階にある文書館は大きな謎を秘めた迷宮だった。閉ざされた修道院の中で何が起こったのか。歴代の文書館長は何を守ろうとしているのか。

 今は故郷メルクで老僧となったアドソが、師ウィリアムとともに大きな謎に向かい合った7日間を振り返って語る。

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2005年03月04日

"NICKEL AND DIMED" Barbara Ehrenreich  

 ノンフィクション翻訳クラブに入会して初めての読書会。

 女性ジャーナリストがみずから最低限の時給で働きながら、社会福祉改革下のアメリカで働く人々の姿をリポートする。突撃体当たりレポートかな?

 確かに最低限の時給だが、日本でも実際にその時給で暮らしている人々はいくらでもいる。わたし自身も貧乏学生だったころからさまざまな職を経験してきたし、今も時給と出来高いくらで働いている。特に主婦にとっては「130万円の壁」が立ちはだかっており、好むと好まざるにかかわらず、その時給で働かざるをえない立場に追い込まれている。
 
 実生活でのさまざまな体験、さまざまな人々のことを思い起こしながら読んでいる。おもしろいというより怖い本である。

 著者が試みに仕事をすることで、もっと切実に仕事を求めている人がアブレてしまったんじゃないかとか、自分に盗みの嫌疑がかけられていることにも気づかない移民の若者はどうなったのだろうと、気になることばかりである。読みながら、つらくなってくる。
労働条件の厳しい職場であったり、経営者が独裁者のようであったりすれば、そこで働く人が自分よりも立場的に弱い人をいじめたり、精神的に追い詰められることもよくある。世間的に名前が通っているかどうかとは、これはまた別の問題だったりする。わたしも追い詰められたことがあるし、ぼろぼろになった人も見ている。

 でも、現実はもっと厳しいのだろう。年末に読んだ新聞記事には、小学生の子どもを連れて空き缶拾いをしている家族のことが取り上げられていた。路上で凍死、なんていうのは、今「ふつう」に暮らしているわたしたちの足元にもある落とし穴なのかもしれない。

 過酷な労働条件のもとで神経をすり減らした著者は、2章でメインへ移る。白人の多い地域は移民の多い地域とどう違うのか? 
 読むのにちょっと気合というか覚悟が要る本である。へたっているときには読む気になれない。読み始めたらそれなりに読み進んでいけるのだけれど。

 メインに移った著者はここでも2つの仕事をかけもちする。平日はハウスクリーニング、週末はナーシングホームでアルツハイマーの人々の介助。

"The Maids"というフランチャイズ方式のハウスクリーニング会社で働く女性たちの経歴はまさにひとそれぞれ。ギリギリのところで持ちこたえているという点だけが共通点なのかもしれない。
"The Maids"の派遣先もさまざまである。膝をかがめ、床を磨く彼女たちの手は強力な化学洗剤のせいでぼろぼろである。少し前にテレビで見たのですが、世間の注目を集めるため、全裸で掃除をする会社もあるとか……。依頼する人がいるというのがわたしには全く不可解である。家事を赤の他人にゆだねるという点について、日本とアメリカでは感覚が違うのだろうけど――。

 ここで著者は、冷静さを保とうとしながらも、それ以上に激しい感情に動かされているように見える。怒り、かな? そして、傷ついていく……。  hot heart&cool headだったかな、よく出てくる言葉だが、現場にいると、この2つを両立させるのがほんとに難しい。気持ちがどんどん先走り、現実という壁にぶつかり、燃え尽きてしまう――ジャーナリズムの世界でも同じことが言えるのかもしれない。
 フィールドワークの大切さはわかるけど、こういうやり方ってちょっとどうかな、と思っていたが、ここへ来て、苦しみもがく著者に気持ちがぐいぐい引き寄せられている。のたうつ姿を率直に表現しているからだろうか?

 さて、疲れ切った著者はメインを去り、今度はミネソタへ。今度の仕事はウォルマートのようだ。ミネソタで著者はアパート探しに苦戦。安い物件がなかなか見つからない。モーテル暮らしというのは、どうもまだピンとこない。
 尿検査でひっかからないようにCleanPというお薬(?)を飲みますが、これって一体何なんだろう?

 3章の終わりで、事態は意外な展開を見せる。というよりも、著者とここまでおつき合いしていると、当然という気もするが。低賃金労働は人間の自尊心まで奪ってしまうのかもしれない。
組合について、また、残業代についてもいろいろ考えさせられた。我が家でも、個人事務所で働いた経験しかないわたしと、労働組合があって当たり前という会社に勤続している夫とでは、このあたりの見解は大きく食い違っている。労働者の権利を守る労働組合があって当然(その分、毎月組合費として天引きされている金額も馬鹿にならない)という夫と、仕事は個人の裁量によるという観点から残業代を出さない場合が多い個人事務所にいたわたしとでは、違っていて当たり前なのかもしれない。そして、お互い、そういう風土に長くいてその文化にひたってしまっているから、なかなか合意ができない。
 個人事務所での問題はとかく「家族的」をうたい文句にして、労働者の権利についてはごまかしてしまう、そういう面が否定できないように思う。そして、家族経営から始まって親族で役員を固めている会社では、そのまま、そういう考えを引きずっていくような、そんな気がする。

 いろいろ考えさせられたが、最後は著者の姿勢に共感できたため、後味よく読み終わった。この本が社会学の教科書として使われる理由がわかったような気がする。NFでは、次回は著者が編集したエッセーを読むとのこと。こちらも楽しみである。
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2004年07月28日

ONE FOR THE MONEY Janet Evanovich

 とにかく時間のかかった本だ。買ったのは一昨年11月。(一緒に買った"WINTER FROST"は12月中に読み終えた)読み始めたのはクリフで読書会があった昨年3月。全くのれなくて少し読んでは放りだし、また少し読んでは積んでおくというのを繰り返していた。主人公のステファニー・プラムが好きになれなかったからである。行きあたりばったりであとも先もろくに考えず、危ないことをしているのに怖いもの知らずのステファニーが「何かバカみたい」(自分のことを棚に上げて)に見えた。お話もやたら騒々しいだけで描写も平板だし、これほど読むのが苦痛だった本も珍しいくらい。「おもしろい」と聞いていたから期待しすぎていたのかもしれない。どうにもこうにも波長の合わない本だった。

 自分でも、おそらくこれは読了できないだろうなと思っていたが、今月は読みさし本片づけキャンペーン実施中(個人的に)なので、"HOLES"を読んだ後、3分の1ほど読んでいたこの本にとりかかった。「易しくておもしろい」という書評が多く出ている本で挫折するのは正直言ってかなりしゃくだし、わたしには読めないとは認めたくない、そんなちっぽけな意地もあった。

 覚悟を決めて読んでみると、残りは案外ラクに読んでしまえたし、読み終えてみると、結構おもしろかった。タニス・リー『白馬の王子』で脱力系主人公に対して免疫ができたせいかもしれない。ステファニーは特に好きな人物とは言えないが、こういう性格もいいかもねと思えるようになった。

 モレリ、レンジャー、そしてあのおばあちゃんなど他の人物はなかなか魅力的である。いつもおいしい匂いのするプラム家の様子はときどきのぞいてみたくなるくらい、にぎやかで楽しそうだ。

 あんまり大きな声では言えないのだけど――折を見てこのシリーズを追っかけてみるのもいいな、なんて今は思っている。
 
 気楽に楽しみたいときはよろしいんじゃないでしょうか。
posted by 如月 at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | E