ためらいがちに新しい恋に踏み出そうとしたとき、わたしの心に浮かんだ思い、それは……。心の奥深くで今もうずく傷、傷つきたくない、自分を守りたいという気持ちが強すぎて、自分の殻に閉じこもったり、相手を傷つけたりしてしまうこと、それでもぬくもりを求める心。
自分の中にも、そんな気持ちがある。この中にわたしがいる。
そして、この子たちにこう言ってやりたい。何もそんな「イタイ」思いを抱え込むことはないんだよ。好きなように生きていいんだよと。けれど、それは彼女たちも、頭ではよく分かっているのだろう。分かっているけど、こんなふうにしか生きられない、そんな声が聞こえてきそう。
一言だけ付け加えさせてほしい。そんな痛さを抱えながら親になるのはやめてね。いつか爆発してしまうかもしれないから。子どもを傷つけてしまうかもしれないから。どうか、どこかの時点で痛さを手放してください。
帯には「人を好きになること、誰かと暮らすことの、危うさと幸福感を、みずみずしく描き挙げる感動の小説集」とあるが、ちょっと違うような気がする。わたしがこの小説集を読んで最も強く感じたのは、底知れぬ深みにはまり込みそうな危うさであり、それは幸福感とはほど遠かった。そして、みずみずしさというより倦怠感を感じる。
暴力は不安の裏返し。愛されたい不安だろうか? それが他者に向けられるか、自分に向けられるか? どんな人の中にも、そんな不安が潜んでいるような気がする。
ずっと前向きはしんどい。ずるずる深みにはまっていくのはいやだけど、たまには、弱い自分に居場所を与えてやってもいいんじゃないか、そんな気持ちを起こさせる小説集だった。
2008年02月28日
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