講談社 ISBN; 4062123134
両親が離婚し、9歳の少年ミゲルは母、妹のファニータとともに、住みなれたニューヨークからヴァーモントへ引っ越した。母は仕事で忙しく、学校にはミゲルのように柔らかな小麦色の肌と黒い髪の子はいない。
留守番をする子どもたちを気遣い、母は故郷ドミニカからロラおばさんに来てもらった。回りの大人たちとは一風変わったおばさんに戸惑うミゲル。だが、新しい土地に少しずつ根を下ろしていく中で、いつしかおばちゃんに向けるミゲルの視線が変わっていく。
息苦しいほどの緊迫感に溢れた"BEFORE WE WERE FREE"とはまた少し感じが違う。こちらの方が明るく、読みやすい。かといって、軽いお話ではない。作者の視点は、ヒスパニック系シングルマザー家庭で育つ子どもたちの抱える生きづらさにしっかりと向けられている。そして、そこから目をそらすことなく、その息づかいが伝わるかのように生き生きと描かれている。
そして、何より魅力的なのは、ドミニカの太陽と海そのもののようなロラおばちゃんの存在である。慣れない英語で一生懸命しゃべるおばちゃん、メレンゲに合わせて踊るおばちゃん、お話の上手なおばちゃん――ミゲルでなくても、「おばちゃん、ずっと一緒にいて」と言わずにいられなくなる。
世界の美しいものは、みんなへのすてきな贈りものだ。ロラおばさんはいつもいっている。その贈りものは、ただ、手をのばして、感謝しながら受けとればいい。 171ページ

