2005年06月11日

『愛の年代記』塩野七生 新潮文庫 ISBN*:4101181012

 中世末期からルネッサンスにかけてのイタリアでのさまざまな愛の形を描いた短編集。

 日陰の身から大公妃にのぼったビアンカ、実験台にされたジュリア、ただ一度だけ相まみえた男を思い続けた伯爵夫人マリア、道ならぬ恋に身を焼いた侯爵夫人パリシーナ、貞淑なキアラが死ぬ前に考えたこと、才気ある若者の将来を破滅に陥れた美貌の奥方、そして法王位にのぼったジョヴァンナ――

『ダ・ヴィンチ・コード』に関連して、そう言えば女性教皇がいたという話を読んだことがあるけど、どこに書いてあったのか気になっていた。少し調べればすぐわかった。この本だった。

 実は、わたしはこの本を高校時代に読んでいる。学校の図書室か、市立図書館か、どこで借りたのかは定かではない。歴史でルネッサンスを学んでいたとき、この方のチェーザレ・ボルジアについての本を読み、そのあと、この本を読んだように記憶している。かなりきわどい描写もあるが、著者の筆致がからっとしているので、高校時代のわたしでも、動揺することなく、さらっと読んでいた。

 そのときも一気に読んだが、今回もまた、おもしろくて一気に読んでしまった。わずかに残された史実から今もそばにいるかのようにいきいきと血の通った人物を描き出す手腕は見事だ。

 純愛あり、道ならぬ恋あり、不倫あり。ここに描かれるロマンスは濃く、激しい。ありきたりな小説など色あせて見えるほどである。ロマンスここに極まれり、という感じだ。もしかしたら、この本でロマンスを堪能してしまったから、他のロマンス小説が読めなくなってしまったのかもしれない。

 イタリアに行ったことはないが、イタリアの空や海の色はきっと、目もくらむほど鮮やかなのだろう。本を読み終えた今、まぶたの裏に残る激しく生きた女性たちの生のように。

大公妃ビアンカ・カペッロの回想録
ジュリア・デリ・アルビツィの話
エメラルド色の海
パリシーナ侯爵夫人の恋
ドン・ジュリオの悲劇
パンドルフォの冒険
フィリッポ伯の復讐
ヴェネツィアの女
女法王ジョヴァンナ

posted by 如月 at 10:19| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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