Fitzhenry&Whiteside ISBN 1550412949
これは物語ではなく、トロントで発行されていた雑誌に寄稿した記事を集めたものである。プリンス・エドワード島で育った幼少時から結婚してを離れるまでの思い出などが語られている。
はるかスコットランドから移住してきた先祖のお話。苦しい旅の果て、ひととき、妻を休息させるつもりで立ち寄った島から妻が離れようとせず、そのまま居ついてしまうお話は『彼方なる歌に耳を澄ませよ』にもあったような気がする。よくあった話なのだろうと思う。
お化けの森のお話や、飼っていた犬の名がジップだったなどのエピソードには、ここにアンが、エミリーが、セアラがいる、と叫びそうになる。
とりわけ少女時代の思い出がいっぱい詰まっているのは『ストーリー・ガール』である。モンゴメリが一番愛した作品だというのがしみじみ伝わってくる。
新聞社で校正係や雑用もしながら記事を書いていたこと。『赤毛のアン』執筆から出版に至るまでのこと。作家を夢見て奮闘していたモードの姿がいきいきとよみがえる。
ユーアン・マクドナルド牧師と結婚したモードは、新婚旅行の途中、父祖の地スコットランドを訪ねる。その姿は、自分の生まれた家を訪れて記憶にすらない父母を思うアンをしのばせる。
モードはスコットランドではロスリン礼拝堂に足を運び、ロンドンではテンプル教会にも行っている。この2つの場所は、あの有名な本を読まれた方にはおなじみだろう。テレビで見たあの場所にモードもいたのだなと思うと、とても不思議な感じがする。
100ページ足らずのパンフレットのような本ですが、モンゴメリを愛する人には必読の書である。何度も読むことになりそうな気がしている。
2005年05月20日
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