ISBN 042519129X
7月のある金曜日の夜、インディゴ・ティー・ショップのセオ、ドレイトン、ヘイリーは、チャールストンウミガメ保護同盟の人々とともに、ウミガメのふ化を見守っていた。そのとき、3人は海上に何かが浮いているのを発見する。上級ライフセーバーの資格を持つセオが確かめるために泳いで行くと、異臭を放つその物体は人間の死体だった。その死体を目にしたドレイトンは、旧友の骨董店経営者、ハーパー・フィスクであることに衝撃を受ける。
キングストリートで骨董店を営んでいたハーパーは南北戦争フリークだった。トレジャーハンティングを趣味とし、常々文化遺産協会で古い日誌や歴史記録を調べ、昔の難破船の位置を特定しようとしていた。ハーパーは難破船の位置を突きとめようとして護岸から転落し、流されたのだろうとドレイトンは推測する。
フィスク家最後の生き残りであるハーパーには身寄りがなく、最も近い関係者といえるのはイングリッシュ・ブレックファスト・クラブだけ。クラブのメンバーは骨董店経営者や歴史愛好家で週数回ハーパーの店に集まってお茶を飲みながら語り合っていた。小さいけれど趣味のよい店は2年前からパートナーである若い女性サマー・サリバンが引き継ぐだろうこと、さらに、ハーパーは文化遺産協会に債券や株券、私的収集物など店の品以外のすべてを贈るという遺言を残しているらしい。
ハーパーの死は警察により事故と断定されたが、納得できないセオは独自に調査を進める。調査を進める中で、セオは、ハーパーの死はチャールストン湾に眠る南北戦争時の財宝に関連があるのではないかと推測する。ハーパーは殺されたのか? 殺されたのならだれが? 何を狙って? 文化遺産協会主催のファッションショーの日が迫り、忙しい日々の合間を縫ってセオは奔走する!
夏の夜のウミガメのふ化という神秘的な場面から始まり、華やかなファッションショーで幕を下ろすこの巻はシリーズのうち既読の4作中で一番好きな作品である。南北戦争当時の財宝というと、かの『風とともに去りぬ』でレット・バトラーが一財産つくったのが南北戦争時の封鎖破りであったことが思い出され、懐かしいような気持ちに誘われる。
パターンとしてはありがちかもしれないけれど、いつものようにインディゴ・ティー・ショップの3人がつくり出す温かな雰囲気に包まれ、心地よく読み進むうちに、浮き世の憂さをきれいさっぱり忘れさせてくれる、イングリッシュ・ブレックファストのように薫り高く、さわやかな後味の1冊。
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/2326634
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/2326634
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック

