ISBN 0425179451
イギリス植民地の雰囲気を色濃く残す街チャールストン。その中でも歴史を感じさせる景観地区の一画にあるインディゴ・ティー・ショップ。経営者セオドシアとお茶の達人ドレイトン、「お菓子ならまかせて」夜学生ヘイリーがきょうもおいしいお茶とお菓子で迎えてくれる。
10月のある宵。文化遺産協会の主催でランプライター・ツアーが開催された。景観地区にある、ふだんは公開されない邸宅を見学して回る催しである。チャーチストリートにあるエイヴィス・メルボーン邸でももてなしのための盛大なガーデン・パーティが開かれていた。ケータリングを担当するのはインディゴ・ティー・ショップ。いつもの面々に加え、今夜はヘイリーの友人、ベサニーも手伝いに来ている。27歳のベサニーは交通事故で夫を亡くしたばかり。ハーレイのもとに身を寄せて、文化遺産協会でインターンとして働き、正職員としての採用を希望している。
宴も終わろうとした頃、ベサニーの悲鳴が響く。紅茶の入ったカップを持ったまま、男性がテーブルに突っ伏して死んでいたのだ。
死んだ男性は不動産業者、ヒューズ・バロン。警察は第一発見者であり、紅茶を注いでいたベサニーを疑い、取り調べを始める。ベサニーの無実を照明するため、セオは調査に乗り出す。
ティー・ショップ・ミステリ第1作。30代のセオ、60代のドレイトン、20代のヘイリーという世代の違う3人が醸し出す包み込むような雰囲気とヒロイン、セオの凛とした強さと優しさがとても気に入っている。不快な場面や騒々しさはみじんもなく、読後にほわっと温かさが残るのが快い。わたしにとってはとびきり「コージー」なシリーズである。
セオドシアとともに暮らすのはラブラドールとダルメシアンのミックス犬、その名もアール・グレイ。店の裏でごみ箱をあさっているのをセオに見られ、拾われた犬なのだけど、この犬はただの犬ではなく、セオとともに高齢者・児童施設や病院を訪問する公認セラピー犬である。お茶好き、犬好き、アンティーク好きにとってはたまらないお話である。
ハロウィンを前にかぼちゃちょうちんを飾った邸宅のガーデン・パーティに始まる本作は、自分もインディゴ・ティー・ショップのカウンターでドレイトンが語るお茶にまつわる蘊蓄とハーレイがつくるお菓子の香りを楽しみながら、セオとともに真実を追い求めているような気持ちにさせてくれる。落ちついた心地よいミステリを求める方にお薦めのシリーズである。
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