2005年03月04日

"MYSTIC RIVER" Dennis Lehane




[書名]Mystic River
[著者名]Dennis Lehane
[発行年月日]2002.4
[出版社]Harper Collins
[ISBN]0-380-73185-1
[定価]$7.99 
 
 友だちというにはあまりに淡いかかわりであった少年三人の少年Jimmy、Sean、Dave。十一歳のある日、路上にいた3人に不審な車が近づき、 Daveを連れ去った。四日後、Daveは自力で帰還する。何が起こったのか公には明らかにされないまま、少年たちは事件を記憶の奥に押しとどめ、それぞれの人生を生きていく。

 二十五年後、思わぬ事件が三人を結びつける。Jimmyの娘Katieが惨殺された。被害者の父Jimmy、容疑者として疑われるDave、今は刑事となり、事件の捜査を担当するSean。三人と彼らの周囲の人々の人生が交錯する中で、二十五年前の事件がどれほどの影を彼らの心に落としているかが少しずつ明らかにされていく。そして、悲劇が新たな悲劇の引き金となる。

 きりきりするような痛みを描きながらも、その痛みを抱えながら生きていていいのだという著者のメッセージが伝わってくる。陰惨な光景を描きながら、読後に温かなものが残る、不思議な作品である。パトリック&アンジーシリーズで知られるLahaneのノン・シリ−ズ第一作。映画を見ているような場面が展開される中で、ひとりひとりの心の動きが緻密に描写されていく。

  取り返しのつかない後悔すらも包み込んで流れる河のように、著者は人間の優しさや愛情だけでなく、憎しみや愚かさ、残酷ささえもすべて、受け入れて包み込んでいるように感じられる。幾つもの賞を受けているのもうなづける秀作である。


posted by 如月 at 15:57| Comment(0) | TrackBack(0) | L | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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