クリフの読書会で読まれていて、いいなと思った本。邦題『砂漠の女ディリー』
ソマリアの遊牧民の娘である13才の少女ワリスは、自分の意に反して結婚させられそうになったため、家を飛び出す。飲み物も食べ物もなく、はだしで砂漠を走るワリス。目の前にはライオンが、そして、トラックでは強姦されそうになるが、おばの元を目指して、ワリスはひたすら走る、走る、走る――。
表紙のワリスの写真が印象的。
動物たちと暮らすノマド――遊牧民の生活や ワリスの父母のこと、一夫多妻の習わしなどに続いて、割礼circumcision、 ここでは女性の性器切除が克明に語られる。
ジプシーの手によって施される割礼は、麻酔も消毒もなく、血のこびりついたカミソリで行われる。大量出血や感染症で亡くなることが多いのは当然のこと、ワリス自身が書くように、生き延びている方が不思議なくらいである。読んでいるだけで気絶しそうだった。こんなことが今までも行われているなんて……。
それでも、母親は娘がちゃんと結婚できるようにという一心でこの残酷な儀礼を受けさせるのだろう。
ロンドン赴任中の大使であるおじ宅でメイドとして働くワリス。休みもないのは厳しいけれど、それはソマリアでも同じだったから、さほど苦にならなかったのだろうか。学校へ行けないことがつらそうだ。
夜ばいしてくる従兄弟。男性不信になっても仕方がないだろう。写真家に対して、ストーカーにつきまとわれているように思ってしまうのも無理ないかもしれない。
おじたちは任期が終わり、ソマリアへ帰国することになるが、ワリスはロンドンに残り、モデルとなる。モデルとしての初仕事で、ナオミ・キャンベルと同行する。奇矯な振る舞いで名を挙げてしまった感のあるナオミだけど、このころ(16、7歳)はまだかわいかったんだ! 写真で見ると、ワリスの方が美人みたいだけど(^^;)
モデルとして、ミラノ、パリ、ロンドン、ニューヨークと、ショーを追って転々とするところ、パスポートを得るために偽装結婚(!)するところ、そしてダナとの出会いは、まるでよくできたお話みたいな気がしてしまった。だけど、これはほんとのこと。
母との再会。国連の特別大使となったこと、FGMをなくしたいという願い――。自分にFGMを受けさせた両親をそれでも愛しているというところでは、胸がいっぱいになった。そして、生かされていることへの感謝、自分の使命……。
パワフルで心打たれる一冊だった。女性が負わされている問題、そして、自分は何のために生かされているのか、自分なりに考えていかなくては、そういう思いを抱かせる本だった。
2005年03月04日
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