"THE BOOKMAN'S WAKE" John Dunning ISBN 4151704027
警察を辞めて古書店を営むクリフことクリフォード・ジェーンウェイのもとに元同僚のスレイターが依頼に来る。ある本を盗んで逃走している若い女性、エリノア・リグビーを連れ戻してくれば5000ドル出すという。
その本とは、限定版専門の小さな出版社ドレイトン・プレスが1969年に出したとされるエドガー・アラン・ポー作『大鴉』の特装本だった。目録にもないその本が果たして存在するのか疑問に思いつつ引き受けたクリフはシアトルへ、ドレイトン・プレスの印刷工房があった山あいの寒村ノース・ベンドへ飛ぶ。そして、そこにはかつて起こった不可解な連続殺人事件の影が!
世界で1冊の本をつくることにとりつかれた人々、そしてその思いを胸に生きる人々の姿を見事に描き切っている。ダリルとリチャードのドレイトン兄弟、ダリル・ドレイトンを仰ぎ見ていたガストン・リグビー、〈シアトル・タイムズ〉の記者でドレイトン兄弟の伝記著者トリッシュ・アーンダール、そして本を愛するがゆえに追われる身となったエリノア・リグビー。それぞれの思いに圧倒されたが、とりわけエリノアの存在が鮮烈である。
そして、たっぷりとまぶされた蘊蓄に酔った。
稀覯本にも特装本にも興味はないが、本に寄せる思いならわたしにもわかる。本好きならこの世界をたっぷり楽しめるだろう。スリリングであり、かつ人間をしっかり描いている点からもお薦めのミステリである。
2005年01月31日
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/2148686
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/2148686
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック


この薀蓄はすごそうですね。
ローレンス&ナンシー ゴールドストーンの「古書店めぐりは夫婦で」の薀蓄を思い出しました。
(ユリシーズが禁書だったころに税関の監視を逃れるために作られた本など)
ウィークエンドマーケットでも古本コーナー(でかい)を回ってしまう阿呆なのでこういう話は大好きです。
ご紹介いただいた本もおもしろそうですね。
年末年始に古本屋で買った本たちが「早く読んでくれ??」と本棚から叫んでいます。むむ、いつまでも無視するわけにはいかないのだけど……。アマゾンのカートにも山ほど本が入ってるんです(;_;)