アースシーの島々で異変が起こっていた。魔法が力を失いつつあったのだ。ロークの大賢人ゲドは、エンラッドの王子アレンとともに、闇と戦うため、さいはての島へ旅立つ。
きらきら光る噴水の前でのゲドとアレン、長たちの話し合い、ホート・タウンのウサギ、大海原、魔法の力をなくした老婆アカレン、その息子の染師ソプリ、飛び立つ竜、いかだ族、黄泉の国での戦い──さまざまな場面がくっきりしたイメージを与える。
旅する過程で語られるゲドの言葉の深さに打たれる。とっつきにくい横顔を見せるゲドに、ともすればひるんでしまいそうになるが、その言葉のひとつひとつに知恵と歴史が感じられ、もっともっと話を聞かせてもらいたくてたまらなくなる。
感銘を受けた箇所に附せんを貼っていったのだけど、たくさんありすぎて書き出すこともできなくなってしまった。一度では受けとめきれない言葉たちに、また会いに行きたい。
「あの女は、昔、たいへんな力を持っていた。」彼は続けた。「ただのまじない女でもなければ、薬ばあさんでもなく、本格的な魔法に通じた、誇り高い、立派な人だった。その術と技を美しいものをつくりだすことに使っていてな。それがあの人の人生だった。だが、もう、すべては過去のものになった。」156pp
「いいか、アレン、この世ではふたつのもの、相対立するふたつのものがひとつのものを作りあげているのだ。万物と影。光と闇。天の両極。そして、生は死から、死は生から生まれている。相対立しながら、両者はたがいを求め、たがいに命を与え合い、永遠によみがえりを続けていく。すべてがそうだ。りんごの花も、星の光も……。生きてこそ死があり、死んでこそよみがえりもある。となると、死の訪れない生とは、いったいなんだ? どこまでも変わることなく、永遠に続く生とは? 死を他にして何がある? よみがえりのない死をほかにして……。」248pp

