モンゴメリ晩年の作品であるためか、にぎやかで陽気な前半に比べ、後半は別れ、喪失、寂寥、死といった色彩が濃く、モンゴメリの他の作品とは一線を画している感がある。パットは依怙地なほど頑固であり、銀の森を離れたくないばかりに打算的とも言える行動をとることもある。それでもなお、この作品に惹かれるのはなぜだろう。
何もかもが目まぐるしく変わっていく時代の中にあって、変わらないものを愛し続けるパットに、なくしてはならない大事な何かを教えられているような気がする。
とは言っても、この作品には教訓的なところはない。銀の森を愛し続けるパット、そんなパットを温かく見守るジュディ、ぎくしゃくすることはあっても強い絆で結ばれた妹レイ、流れ者のようにふらっとあらわれて銀の森に居ついたチリタック、今は亡きパットの親友ベッツに思いを残しながらも対照的な性格の女性と電撃結婚するシド、そして手紙でしか語られないのに強烈な存在感を発揮するヒラリー、それぞれの人物に心を寄せずにいられない。
『パットお嬢さん』はそう何度も読み返した記憶はないのだけど、原書で読んでいるとかなり細かい点まで記憶が蘇ってきたことに驚いた。パットってちょっとねえ、と思いつつ、もしかしたら、最初に読んだときからずっとパットに惹かれていたのかもしれない。そして、パットはいつも心の奥深くにいる、そんな気がしている。

